相続の基礎知識Q&A
よくある質問に司法書士がわかりやすくお答えします
相続に関する知識を持つことで、「なにをすればよいのかわからない」という不安は軽減されます。
ここではQ&A形式で相続の基礎知識をご説明いたします。
まず初めにやるべきことは以下の3点です:
- 遺言書があるかどうかの確認 - 遺言書の有無で手続きが大きく変わります
- 相続人の調査・確定 - 戸籍を収集して法定相続人を明らかにします
- 遺産の内容の調査 - プラスの財産だけでなく借金等も調査します
これらの調査を正確に行うことが、その後の手続きをスムーズに進めるために重要です。
相続税には「基礎控除額」があり、遺産総額がこの金額以下であれば相続税はかかりません。
基礎控除額の計算式
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が3人の場合:
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
遺産総額が4,800万円以下なら相続税はかかりません。
遺言書の種類によって対応が異なります:
- 自筆証書遺言の場合 - 家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。勝手に開封してはいけません。
- 公正証書遺言の場合 - 検認は不要で、そのまま手続きに使用できます。
重要な注意点
自筆証書遺言を勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。必ず家庭裁判所で検認を受けてください。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産(借金等)も一切相続しないという手続きです。
期限:相続を知ってから3ヶ月以内
この期限を過ぎると、原則として相続放棄ができなくなり、借金も相続することになります。
借金が多い場合や、相続したくない事情がある場合は、早めに司法書士にご相談ください。
法定相続人とは、法律で定められた相続人のことです。順位があります:
- 配偶者 - 常に相続人になります
- 第1順位:子供(子供が既に亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:父母(子供がいない場合)
- 第3順位:兄弟姉妹(子供も父母もいない場合)
例:配偶者と子供2人がいる場合
→ 配偶者:1/2、子供:各1/4 の割合で相続します
遺産分割協議とは、相続人全員で「誰が・何を・どのように」相続するかを話し合って決めることです。
重要なポイント
- 相続人全員の合意が必要です
- 一人でも欠けると無効になります
- 合意した内容は「遺産分割協議書」にまとめます
- 全員の実印と印鑑証明書が必要です
令和6年4月1日から義務化されました
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。
正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
早めに相続登記を済ませることをお勧めします。放置すると、さらに相続が発生して手続きが複雑になることもあります。
戸籍謄本は、その戸籍がある市区町村役場で取得できます。
取得方法
- 窓口 - 本籍地の市区町村役場で直接取得
- 郵送 - 遠方の場合は郵送請求も可能
- コンビニ - マイナンバーカードがあれば一部の戸籍は取得可能
相続手続きでは、亡くなった方の「出生から死亡まで」のすべての戸籍が必要になります。転籍や婚姻により複数の市区町村から取得する必要がある場合も多いです。
一般的に、相続手続きは3〜6ヶ月程度かかります。
期間が長くなる要因
- 相続人が多い、または遠方にいる
- 未成年者や認知症の方がいる(特別代理人・成年後見人の選任が必要)
- 不動産や財産が多い
- 相続人間で意見が対立している
- 遺言書の検認が必要
スムーズに進めるためには、早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。
司法書士は相続手続きの専門家として、以下のメリットがあります:
- 正確な調査 - 戸籍や財産の調査を正確に行います
- 書類作成 - 遺産分割協議書など必要書類を適切に作成
- 手続き代行 - 不動産の名義変更等を代理で行います
- トラブル予防 - 将来のトラブルを未然に防ぐアドバイス
- 時間の節約 - 複雑な手続きを迅速に進められます
詳しくは「司法書士のメリット」のページをご覧ください。